Story

2011年3月27日 | |

【私が自炊愛好家になるまでのお話です】

アヒルがタバコを吸っていたら、
飛べるようになったんだよと父は言って、
なんで?なんで?と、聞いてみたらば、
ガンになったからと、父は笑いながら言った
のですが、家族にとってはとても笑えない話。

因みに父はタバコを吸わない人でしたが、肺がんで他界。
その病の一因が、食習慣にもあったのかもしれない・・・
と思ったのは、随分と後になってからの事でした。

母が、軽度の腎臓疾患で入院をして、退院後暫くしてから
腰椎圧迫骨折と診断され、自宅での安静が必要になった時
のことです。

腎臓の治療による薬の副作用から骨粗鬆症が進行してしまった
可能性もあるとの事だったので、この時のお薬を減薬する為、
食事で何か出来ないでしょうかと主治医にお伺いしたところ、
素人には難しいよと、言われただけでした。

それでも、日々の食事は素人が作るのでは?という
疑問符が、食生活を見直す起点になったと思います。

それからは、自分で何が腎臓に負担をかけているのかを調べて、
調味料やバランスに注意しながらの日々の食事作り(それまでの
趣味的な料理ではなく、体調を改善するための自炊生活)を始め
ましたが、内容は、病人食いうものではなく、それまで通りの
家庭料理に、野菜や海草の割合が多くなった程度でした。

すると、1月ほどで検査数値にも変化が表れ、徐々にお薬を減らして
頂き、腎臓病に関しては、完治となりました。そして食事内容と体調
は多いに関連しているのだと知ることが出来ました。

この時を境に、家では腎臓に負担のかかる化学塩、化学調味料、
添加物の多い加工品を使用しなくなりました。

薬の服用については、反応に個人差があり、必要なものは続けなければならない
ことも、投薬の継続が患者の健やかな日々を支えてくれることも、家族の闘病を
通して、実感と認識をしました。

家族の闘病は、本人だけでなく、家全体に影響のあることですので、
ひとりひとりが健やかさを継続することの大切さが身に沁みました。

そして後に、私が職場近くの都心で1人暮らしを始めてからの
ことになりますが、原因不明の体調不良が続き、大きな病院で
検査をし、異常なしと診断され、風邪のような症状に処方された
軽い抗生剤にもアレルギー反応が出て、それまで普通に食べてい
たものや、身に着けていたもの、洗剤などでも体調が悪くなり、
衣食住が大変不自由になってしまいました。

化学物質過敏症および電磁波過敏症の症状でした。
反応する物質や症状には個人差があり、原因物質には
目に見えるものと見えないものがありますので、原因
物質を完全に除去するのことは、不可能です。

食べられるものが限られて、外食も市販のものもほとんど食べられないので、
今度は、自分が食べられるものを作る為の、自炊生活を余儀なくされました。
胃腸の機能も低下していたので、食べても上手く吸収出来ず、体重はどんどん
減っていきました。

その頃、定期的に通っていた歯医者さんが、私の異変を気にかけて下さって、
鍼灸師の先生を紹介して下さいました。施術を受け、体の状態を教えて頂き、
整えて頂きながら、一緒に原因や対策について考え、試行錯誤をするうちに、
体調は少しずつ良くなっていきました。

2005年の事でした。当時、あまり知られていなかった化学物質過敏症という
症状に私が、比較的早い段階で気づけたのは、弁護士秘書として勤めていた法律
事務所で、化学物質過敏症に関するご相談案件に携わらせて頂いた経験があった
からだと思います。後に自分が発症するとは思っていませんでしたが、
何も知らなければ、対応が遅れ、原因がわからないまま進行し、
途方に暮れていたかもしれません。

体調が随分回復した頃、ヨガの先生をご紹介頂き、ヨガマットを
持って通勤していた私に、だいぶ元気なって良かったねと仰って
下さった先生が、大動脈解離で急逝されました。

10年近くお世話になりましたが、家事案件を多くご担当されて
いたことから、家や家族関係の大切さを学ばせて頂きましたし、
生活習慣やワークライフバランスの重要性を思い知らされました。

その後も、都心で生活を継続しながら、自然に寄りそう暮らしを心掛けつつ、
植物療法の先生や食養生の先生方、生産者や、お店の方々とそこで出会った
方達にも色々と教えて頂きました。、

多くの情報の中で見えてきた私なりの解は、
3つのポイントに絞られました。

○ 食べすぎない事と偏らない事
○ 体に負担のかかるものと回復させるものを知っておくこと
○ それが自分にあっているのかを見極めること

そしてそれを実行し、継続するには、工夫が必要でした。

私の父には、とても偏った独自の健康信仰があり、お豆腐は必ず毎日食べるとか
大の甘党で、餡子は小豆だから、沢山食べてよいとか・・・母は、とても従順でした。
自分の体に向き合い、調整をする組み合わせと食べ方は、とても大事なことでした。

お陰様で私の体調は回復して、時には外食も楽しめるようになりましたが、
化学物質は増える一方ですので、体調の管理と調整の為に、これからも
自炊は、続きます。怖がり過ぎず、油断し過ぎず、の距離感を持って。

自炊のガイドは私のレシピに興味を持たれた方からお声かけ頂き、
2009年から始め、2010年に自炊倶楽部として、2011年より
IEJI projectとして、主に化学的な調味料や加工品を使用しない
お料理や食材とその保存や活用法をガイドさせて頂いています。

必要に迫られ、止むにやまれず、始まってしまった家自炊ですが、
愛好できるようになったのは、その中に、楽しくて、美味しくて、
嬉しくなるような事もたくさん見つけられたからだと思います。

あるワークショップを依頼されたときに、肩書を提出するよう
求められ、自炊愛好家と私のありのままを書いてお渡しました。

その時お隣にいた方が、だって本当だもん
ね、と言って、一緒に笑ってしまいました。

沢山の方々にお世話になり、支えて頂きました。

さまざまな出来事を味わいながら、見つけてきた
私のレシピが、どなたかの健やかな日々の一助と
なれば、幸いです。

自炊愛好家 あだち かづこ